長崎文学散歩



          鎖国時代、唯一西洋に開かれた長崎。かつてこの地
                    を旅したことのあるゴンチャロフやピエール・ロチ、
                 永井荷風は長崎の街と港を「円形劇場」に例えた。
          石畳、古寺、教会の鐘。くんち、はた揚げ、ペーロ
          ン、精霊流し。歴史に満ちた、この円形劇場で繰り広
          げられる愛憎のドラマは多彩である。
                                                                                                                      
	

   ある作家は長崎をオランダやポルトガル、中国の色濃い異国情緒に求めた。
    別の作家はキリシタン弾圧と殉教を舞台背景とした。原爆も大きなテーマと
    なった。                                                            
    「長崎の人は幸せすぎる」と書いた作家もいた。ぬるま湯の中にどっぷりつ
    かって、覇気がないということか。                                    
    幕末のころ長崎は、火山が噴火する直前の、新しい時代へのマグマだまりの
    状態ではなかっただろうか。                                          
    「長崎事始」というように、いろんなものが長崎から始まっているが、開国
    によって特権を失うと、急速に活力を失ってしまった。マグマを取り込んで
    いくエネルギーが長崎人に不足していたとしか考えられないのは、残念だ。
    創作家たちの目を通して、もういちど長崎を見詰めなおしてみよう。   

                                    『ながさき円形劇場』(長崎新聞社刊)から
  
     


  @夢暦 長崎奉行       市川 森一

  A精霊流し          さだまさし

  B長崎ぶらぶら節       なかにし礼

  C紫の履歴書         美輪 明宏

      Dお菊さん          ピエール・ロチ

  E歌劇 蝶々夫人       プッチーニ

   F日本渡航記         ゴンチャロフ

        G長崎海軍伝習所の日々    カッテンディーケ

       H胡蝶の夢          司馬遼太郎 

   I異人館           白石 一郎

   J文政11年のスパイ合戦    秦  新二

    Kシーボルト幻想行      交流団同行記

   L眠る絵           佐伯 泰英

   M長崎殺人事件        内田 康夫

   N「長崎の鐘」殺人事件    吉村 達也

   O異郷の帆          多岐川 恭

   P坂本龍馬の写真       伴野  朗



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